100歳のお客さんに欲はない。ただ体のことが心配だけなんです。

こんにちは。

オールディーズが大好きな 浜松市佐久間町の理容師 乗本和男です。

お客さんが去年の9月に100歳になり、ボクが36年間も床屋をやって来て、初めて100歳のお客さんの髪の毛を、カットさせていただきました。100年を生きるってどんな感じだろう。ボクはいつも100歳のお客さんの髪の毛や、肌に触れながら、その重みを感じていました。ただ100年生きていても、肌がとても若くてびっくりしているんです。

お客さんが少し元気がなくなったのは、昨年の夏頃でした。「もうすぐ100歳の誕生日になるね。」なんていつも話していたんです。その時までは、杖はついていたのですが、そんなに頼らなと歩けない感じではなく、待合からカット椅子までスイスイと歩いて行けたんですよね。それが100歳の誕生日の1ヶ月前に来店してくれた時、脚の安定感がなく、ちょっとふらつきぎみで歩いたんです。

本人曰く「弱くなった」ってつぶやいてました。そんな風になる前までは、自宅の前にある畑で、野菜を作っていたんですからね。それにやはり弱くなったのが、畑で尻餅を着いたみたいなんです。その時に何処かを打ったのか、足を庇うようになり、段々と弱くなって来たんですよね。でも足は少し弱ったけど、耳も近くて、補聴器を使わなくてもボクとしっかり話すこともできます。

それに8月の時には携帯も巧みに使い、自分の携帯から息子さんのところに電話して、迎えに来てもらってましたからね。それとここだけの話ですがこのお客さん、女性にすごく興味がりこの歳でも友達がいるんですよね。色恋はいくつになっても持ってないといけないなって感じました。でも昨年の9月に100歳になり、それから何度かヘアーカットに来てくれているのですが、回を追うごとに弱くなっているようにみえます。先日の来店の時には、脚がふらついて、ものにつかまりながらカット椅子まで歩いて来たんです。

年齢を考えたら、このくらいは当たり前のことなんですけどね。でも本当に100歳になる前には、しっかりしてましたからね。それを考えると少し残念です。

100歳を超えると、やっぱりいつどうなるか分からないじゃないですか。だからボクがお客さんに聞いたんです。「今思うことは何?」そしたら「欲も何もないけど、しっかり歩けるかとか体のことだけが心配」って言ってました。確かにボクもたまに髭剃りの時に「息しているかな」って、剃刀を止めて首の動脈を見ますもん。でも立派です。ボクも長生きしたらこんな感じに生きたいです。まだまだ元気に来店してくださいね。お待ちしています。

 この記事の投稿者

乗本和男

浜松市の山奥にある佐久間町というところでフィフティーズな床屋 「ヘアーサロンノリモト」を営んでいます。フィフティーズ・ロカビリーが大好きで自然に囲まれながらロックな毎日を過ごしています。町の人に喜んでもらえる床屋を目指しています!
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