95歳で1人暮らし。そんなおじいちゃんの家に、出張床屋に行って来ました。

こんにちは。

浜松市佐久間町の理容師 乗本和男です。

肌寒くなってきました。ただでさえ山奥は、人も気配をあまり感じないから、よけいに寒さを感じるんですよね。昨日は、店から約20分くらいの小高い山に、一人で暮らすおじいちゃんのところに、出張床屋にいってきたんです。そこの地域は現在5件の民家があるのですが、皆さん高齢になり、自分が好きなように行動ができいないんですよね。

きっと浜松市の循環バスはあると思うのですが、乗り方とかどう使っていいのか、分からないので使ってないんです。おじいちゃんは95歳という高齢ですが、晩酌もしっかりやるし、ご飯も自分で炊いて食べるんです。ただ歩くのが少し困難なんですよ。その理由が、腰が90度に曲がっていて、上手く歩くことができないんです。だからボクが自宅に伺って、髪の毛をさっぱりしてきました。

そんなおじいちゃんは、来店されている時からとてもオシャレで、年配になると髪の毛をバリカンで短くするんですが、昔からバリカンは使わないで、鋏だけでカットして刈り上げないんですよね。ボクが名古屋から家に帰って来てから、ずっとヘアカットをさせてもらっているんです。ですから椅子に座ると、何も聞かないで、いきなり鋏を髪の毛に入れてカットするんです。おじいちゃんの自宅には、土間があるんです。そこを使いヘアカットしました。電気では薄暗いので、玄関のドアを開放して、気持ちがいい風を感じながら仕事をします。

ボクが行くと無口なおじいちゃんが重たい口を開いて、最近の出来事を話してくれます。今回は近所の困った人の話でした。周りには近所の方も見えるのですが、お互いに年を取り、出歩かなくなったんでしょう。ですから世間話もなかなか出来なんです。だからボクが行くと、色々な話をしてくれるんですよね。でも多いのは楽しかった昔の話なんです。当時のことを話すおじいちゃんは、とてもいきいきしているんです。

そんな時に思うのは「おじいちゃん、人恋しいんだな」ってことなんです。3か月に1度、出張床屋に来るんですが、本当はもっと早く来てほしいんでしょう。いつもおじちゃんに「遠慮しなくていいだよ、いつでも電話してね」っていってくるんですが、苦笑いするんですよね。そしてヘアカットが終わると駐車場まで来て、90度に曲がった腰をもっと曲げて見送ってくれます。また来るでね、おじいちやん。それまで元気でいてください。

 この記事の投稿者

乗本和男

浜松市の山奥にある佐久間町というところでフィフティーズな床屋 「ヘアーサロンノリモト」を営んでいます。フィフティーズ・ロカビリーが大好きで自然に囲まれながらロックな毎日を過ごしています。町の人に喜んでもらえる床屋を目指しています!
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